畑の雑草対策|農作業で最も過酷な草むしりを減らすおすすめの方法!
畑での雑草対策は、農家や家庭菜園愛好家にとって避けられない課題です。
特に夏場の暑さの中や、長時間腰をかがめて行う草むしりは、体力的にも精神的にも負担が大きく、「農作業で最も辛い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、適切に雑草対策をすれば、畑のむしりを大幅に減らし、野菜作りを楽しむ時間を増やすことが可能です。
この記事では、畑における効果的かつ実践的な雑草対策を紹介します。

畑の雑草を減らす環境づくり
雑草を効果的に抑制するためには、基本的に3つのアプローチが考えられます。
まず、雑草が十分な光合成を行えないよう、土壌表面を覆って光の侵入を防ぐ方法が挙げられます。
次に、雑草の根が定着しないよう、土壌環境を調整し、除草剤などを用いて根の成長を阻む手法があります。
そして、被覆作物を活用して畑全体を他の植物で覆い、雑草が生育するスペースを物理的に奪う方法があります。
これらを実現する具体的な方法として、「マルチング」「除草剤」「被覆作物」が挙げられ、以下で詳しく解説します。
マルチングによる畑の雑草対策
マルチングとは、土壌表面を資材で覆い、生産性の向上や作業負担を軽減する農業技術のことです。
日光を遮ることで光合成を抑え、雑草の成長を阻害したり、光に反応して発芽する雑草を抑制します。
他にも、土中水分の保持や肥料・土壌の流出抑制、温度調整にも役立つので、畑において非常に効果的な手法です。
このマルチング資材には「有機マルチ」と「人工マルチ」の2種類があり、それぞれ異なる特徴があります。
有機マルチ資材の特徴と種類

有機マルチ資材は、遮光による雑草抑制効果以外に土壌改良や微生物の活動を促進する効果、アレロパシー効果※もあり、自然素材で環境に優しく、土に還元されるのが特徴です。
樹皮や木材チップ、竹チップ、稲わら、ススキ・ヨシの茎、枯れ草やモミ殻など様々な種類があり、身近な素材を活用することができます。
中でもヒノキの樹皮やチップは雑草抑制効果が高いとの研究結果(京都大学高槻農場ので研究)が出ています。
ただし、野菜の種類によってはアレロパシー効果により生育が阻害される場合もあるので農作物の近くで使用する場合は注意が必要です。
※参考URL (https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/305464/083000046/)
植物から放出される化学物質が、他の植物に何らかの影響を及ぼす現象のこと。
人工マルチ資材の特徴と種類
人工マルチ資材は、管理が容易で光を効果的に遮断し、優れた雑草抑制効果を発揮するので畑の雑草対策に人気です。
代表的なものに黒色のビニールマルチがあり、防草シートも人工マルチの一つです。
黒色ビニールマルチは、非常に安価ですが強度が弱く破れやすい、太陽光による紫外線劣化に弱いという欠点があります。
一方、防草シートは価格は高めですが、高強度で破れにくく長期間雑草を抑えられます。

ビニールマルチの使用例

防草シートの使用例
防草シートによる畑の雑草対策

防草シートには、織布や不織布があり、高価な物から安価なものまで種類も様々です。
中でも高品質な防草シートを使用することで、雑草の発芽や成長を防ぎ、最終的に枯死させることが出来るので、手間のかかる草むしり作業から解放されます。
さらに、土壌の水分保持や温度管理にも効果があり、作物の生育環境を整えることができます。
また、施工が比較的簡単で、長期間にわたって効果を発揮します。特に、畑の周縁部や通路、作物の株間(畝と畝の間)など、こまめな除草が必要な場所での使用がおすすめです。
また、美しい景観を保ちたい方にとっても、防草シートは理想的な選択肢となります。
畑の雑草対策に有効な防草シートの選び方
防草シートを選ぶ際は、遮光率の高いもの(99.5%以上が必須)、耐久性や透水性、施工のしやすさなどを考慮することが重要です。
また、事前に畑に生えている雑草の種類(葉先の尖った強力な雑草の有無)も確認しておきましょう。
チガヤやアシなど強力な雑草が生えている場合は、防草シートの種類によっては抑えられない場合がございます。
畑の雑草対策に有効な防草シートの使い方
防草シートの効果を最大限に引き出すためには、正しく丁寧に敷くことが重要です。
主なポイントは次の3つです。
●防草シートの端部はしっかりと固定し、風で捲れないようにする

●防草シートの継ぎ目は、重ねしろを10cm以上もうける

●定期的に点検し、破損箇所があれば早めに補修する

防草シートの敷き方は別途詳しくご紹介しております。参考になさってください。
防草シート使用時の注意点

紫外線による防草シートの劣化を防ぐため、防草シートの上にウッドチップなどを敷く方法もありますが、畑の雑草対策にはあまりおすすめしません。
ウッドチップが強風により飛散したり、ウッドチップの層で雑草が生えてくる場合がございます。
そのため、防草シートとウッドチップの併用ではなく、耐用年数の長い防草シートを単独で使用される方がより草むしりを減らすことが出来るのでおすすめです。
また、防草シートの上に何も敷いていない方が、畑を再利用する際や防草場所の移動もスムーズに出来るのでおすすめです。
畑の除草作業が軽減された方の感想
実際に、当店の防草シートで除草作業が軽減された方々から頂いたコメントをご紹介します。
●ヤサイ ツクロウ様からのコメント
畑の通路の雑草対策に頭を悩ませていました。
最初は木材チップを敷いたのですが、すぐに雑草が生えてきてしまいました。
数年前に防草シートを敷いたところほぼ完ぺきに雑草を抑えることができ、以後継続しています。
●ウエ様からのコメント
娘に手伝って貰い、家庭菜園の開いている場所に敷き詰めました。
今年の熱い夏は草取りも億劫でしたが、シートを敷いていた場所だけは草が生えず(当たり前ですね!)随分助かりました(^^)v
防草シート様々です。
他にも畑に防草シートを敷かれたお客様から沢山のコメントをいただいております。
除草剤を使用した畑の雑草対策

除草剤は、防草シートやマルチングでは対応が難しい場所や、既に発生してしまった雑草の処理に効果的です。
まず、除草剤には農耕地用と非農耕地用があるので、農耕地用の除草剤を使用しましょう。また、農耕地用の除草剤には、選択性のものと非選択性のものがあります。
選択性の除草剤は、特定の雑草のみ枯らすことが出来ますが、非選択性の除草剤は、野菜も全て枯らしてしまうので注意が必要です。
さらに、除草剤には液剤と粒剤があります。液剤と粒剤の特性を理解し、適切に使用することで、より効果的な雑草管理が可能になります。
除草剤の分類
除草剤は大きく以下の種類に分類されます。
種類 | 効果発現 | 持続性 | 主な用途 |
---|---|---|---|
液剤(茎葉処理) | 即効性 | 短期 | 生育中の雑草駆除 |
粒剤(土壌処理) | 緩効性 | 長期 | 雑草の発生予防 |
被覆作物による畑の雑草対策

被覆作物は、カバークロップとも言われ、地面を覆うことで光合成に必要な光を遮断するほか、雑草の侵入スペースをなくし、養分競合により雑草の優勢化も防ぎます。
また、土壌浸食防止や景観向上、土壌改良など複数の目的を達成できる効果的な方法です。
中でもヘアリーベッチやクローバーなどのマメ科植物は、窒素固定が可能で、緑肥効果やアレロパシー効果もあります。
被覆作物の選び方
被覆作物を選ぶ際は、以下の点を考慮することが重要です。
- 生育速度と被覆の密度:
早く成長して密な葉を広げる植物を選ぶことで、短期間で地表を効果的に覆い雑草の侵入を防ぎます。 - 根系の発達と土壌改良効果:
しっかりとした根系は土壌の構造を改善し、水分や栄養素の保持に寄与するとともに、雑草の根の侵入を抑制します。 - 主作物との相性:
主作物と競合せず、互いに成長を助ける関係を築けるかどうかが重要です。適切な組み合わせは、全体の生育環境を向上させます。 - 管理の容易さ:
手間やコストを最小限に抑え、維持管理がしやすい被覆作物を選ぶことで、実践しやすい雑草対策が可能になります。
雑草を増やさないための草刈り

これまでの雑草管理とほぼ同じで、資材コストをかけずに雑草を増やさない方法があります。
それは、草刈り時期の調整です。適切な時期に草刈りを行えば、雑草を衰退させることが出来ます。
その時期が次の2つです。
- 雑草が種をつける前の草刈り
- 地下茎に養分をため込む前の草刈り
それぞれご紹介しますので、草刈りの参考になさってください。
雑草が花を咲かせる前の草刈り

種を落とした場合

種を落とす前に草刈りした場合
雑草は花を咲かせると種ができ、地面に大量の種を落とします。
そのため、種を飛散させる前に草刈りをすることで翌年以降の雑草の数を減らすことが出来ます。
ですが、雑草の種類によって種ができる時期は様々です。
種がつく時期が分からない場合は、花芽(花が開花する直前)を見つけ次第、すぐに草刈りを行うと効果的です。
地下茎に養分をため込む前の草刈り

養分をため込んでしまった場合

養分をため込む前に草刈りした場合
雑草には、種以外に地下茎と呼ばれる根で繁殖する種類もあります。
光合成によって得られた養分を地下茎にため込み、その養分を利用して新たな芽を出し増殖するため、地下茎に十分な養分がため込まれる前の草刈りがおすすめです。
成長初期に繰り返し刈り取ると根の栄養を消費して再生能力が低くなります。
ただし、地下茎に養分をため込む時期の判断が難しいため、目安としては草の高さが膝丈ぐらい(春~初夏の成長初期)になる前に刈り取るようにしましょう。
まとめ
畑での雑草対策は、ビニールマルチや防草シート、除草剤や被覆作物など様々な手法がありますが、それぞれ一長一短があります。
1つの方法だけにとらわれず、野菜の株もとにはビニールマルチや敷きワラ、草丈の高くなる野菜の周りには被覆作物、踏み固められた通路や草刈りが困難な傾斜地には防草シート、農作物に影響の出ない場所には除草剤といったように、色々な方法を組み合わせて草むしりの面積や草むしりの回数を削減していきましょう。
そうすればより畑仕事の負担が少なく、より楽しめるものになるでしょう。